ウォンバット研究プロジェクトが始まって間もなく一ヶ月が経とうとしています。
気付けばもう九月も終盤。早いですねぇ。
おかげさまで、研究もブログもマイペースながらもボチボチ続いております。
そこで僕はある重要な事に気付いてしまったのです。
「あれェ、オレ研究のこと全然書いて無くね?w」
タイトルで「ウォンバット研究者の~」とか謳っておきながら、これはいけませんねェ!
というわけで本記事のテーマはこちら!!
で、結局今なにしてるん?
です。
なんとも気の抜けたテーマですいません。
でも大丈夫!ちゃんとおもしろい記事になったから!
それではどうぞ!
- 改めて自己紹介
僕が今何をしているかをお話しするにあたって、やはり改めてしっかり自己紹介しておこうかなと思います。
ワタクシ、今年九月よりオーストラリアにあるサンシャインコースト大学という素敵な響きの大学にてウォンバットの病気の研究をしております。
そのウォンバットの病気というのが、
Sarcoptic mange、和名:疥癬(かいせん)
―ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)により引き起こされる感染症。
感染した個体は強烈な痒み、皮膚の過角化(乾燥しひび割れそして厚くなる)、そしてひっかき傷からの第二感染症などに襲われる。
また、ウォンバットの場合、皮膚の過角化は目の周辺にも起きやすく、その場合は視力を奪われエサや水を見つけることができず多くの場合は死ぬ。
そのウォンバットの病気について詳しくはこちら。
wombat-suki-life.hatenablog.com
このえげつない病気からウォンバットを救うために始まったのが、この僕のプロジェクト!
「Controlling wombat mange by targeting scabies ligand-gated chloride channels」
でございます!
はてェ、「ございます!」とか言われましても。。。
では!内容をザックリ説明いたしましょう。
きっとイヌやネコなどのペットを飼ったことのある方ならご存知かと思いますが、市場にはダニなどからペットを守る寄生虫駆除薬がたくさん出ています。
疥癬はイヌなどのペットから、キツネやクマなどの野生動物、そして僕たち人間を含めた100種類以上の哺乳類で感染が報告されており、それに対して様々な寄生虫駆除薬が使用されています。
しかし、近年になってその薬がダニに効いていないという報告がたまーにされるようになってきました。
その主な原因のひとつとして考えられるのが、
ダニの進化です。
ダニを含めた寄生虫たちは、不適切な薬の使用法(投薬量や頻度)を通して、遺伝子が突然変異を起こし、薬に対する抗体を獲得することがあります。
こうなってくると、ダニの中で抗体のできていない他の薬で駆除するしかないわけです。
ウォンバットに対してもイベルメクチンやサイデクチンという薬が疥癬の治療に使用されています。
ウォンバットの健康に大きな影響を及ぼしているこの病気の原因であるヒゼンダニがどのようにして駆除薬への抗体を得るのか。
そのメカニズムを解明することは、今後使用する薬の種類、投薬量、頻度などを考える上で非常に大切な情報となるのです。
このプロジェクトでは、ダニの遺伝子を解析してみたり、オーストラリア各地のウォンバットからダニのサンプルを採取して比べてみたり、ワクワクなイベントが盛りだくさんです。
皆さんには、このプロジェクトがどのように進んでいくか、はたまたそれがウォンバットの保護にどんな風に貢献できるかをぜひ楽しみにしていただければなと思います。
- んで、結局今は何してるん?
とまぁ、こうして始まった僕のウォンバット研究プロジェクト、なんやかんやでもう一ヶ月が経とうしています。
この一ヶ月、僕が何をしていたか。
それは、、、、
ずーーーーっと論文読んでる。
です!
僕にはボスが二人いまして、
ひとりは神経科学のエキスパート、ロバート・ハービー教授。
もうひとりがヒト疥癬の研究の第一人者、ケイト・マウンゼイ博士。
僕はウォンバット疥癬についてはタスマニア大修士時代から研究してきましたが、寄生虫駆除薬がダニの神経を攻撃する仕組みやヒゼンダニの遺伝子情報などについては全くノータッチでした。
なので、僕の脳ミソをこの分野の最新版にアップデートすべく、毎日ひたすら論文を読み漁り知識を取り入れております。
でも、意外と楽しいッスよ、やっぱり新しいことを知るってのは!
僕が取り入れた知識をここで皆さんと共有して、生物や環境への興味や「へぇ~」って思ってもらうキッカケになったらいいなぁと考えています。
あとちなみに、今僕が住んでるメルボルンはまだまだコロナ第二波による規制真っ只中で、まだサンシャインコーストへ引っ越すことができていません。
早く暖かいとこ行きたいなぁ。
日本はもうすぐ秋ですかね。
皆さん、体調には気を付けて、お元気で。
読んでくれてありがとう!
また次回でお会いできるのを楽しみにしております。