とあるウォンバット研究者の数奇な人生

とあるウォンバット研究者の数奇な人生

オーストラリアでウォンバットの病気の研究をするというあまりにも数奇な人生を選んだ日本人のお話。

最終話: ところで動物学ってどんなこと勉強するの?~タスマニア大学での生活~

皆んと楽しく振り返ってまいりました、僕のタスマニア大学動物学シリーズ。

名残惜しいですが、本記事で最終話となってしまいます。(ヤメナイデクレー!モットツヅケテクレー!)

ご声援ありがとうございます。

 

ただまぁこのシリーズが終わるだけなんでね。

また他のことについて相も変わらずつらつらと書いていく予定なので、お付き合いいただけると幸いです。

 

連載最終話の本記事のテーマは最終話らしく、

さらば!俺の学部生活!タスマニア大学よ永遠に!

です。

 

かっこいいタイトルですねぇ(笑)

本当は大髭書体とかで書きたいんですけどねぇ。

 

 

とにかく、最終話!Here We Go!!

 

1.3年間おつかれ!学部生活ついに終了!

「人生最後の試験を終えたぞッ!!!」

試験会場を出た瞬間にそう叫びました。

3年間通してずっと大嫌いだった試験。幾千もの汗と涙を流した試験。

それを終えた時の気持ち、それは。。。

 

 

あんま覚えてないwww

 

 

 

覚えてないんですよねぇ。

 

とりあえず当日は極度の疲労と寝不足と切れた緊張の糸のせいで、早歩きで家に帰ってテキトーにパン食って泥のように寝ました。

だいたい試験が終わったからと言って卒業が確定しているわけでもなく、いつものように結果発表の日まで「あれェ、あそこの答えミスったかなぁ。。。」とかもう悔やんだって後の祭りすぎることを考えながら過ごすのです。

 

読んでくれてる人は「いやもっと達成感!そういうのないの!?」とか「友とアツい抱擁を交わしたりしないの!?」って思っている方もたくさんいらっしゃるでしょうが、僕の場合はだいたいこんなもんです。

割と地味な性格なんですねぇ(笑)

 

結発表の日はさすがにソワソワしました。

「再試か、はたまた最後の最後で落第か。いやそれだけは絶対避けたい。」

というウルトラスーパーネガティブ思考で結果を待っていましたが、ちゃんと頑張った甲斐もあり、無事に3年間一単位も落とさずに卒業できるということに相成りました。

 

それが11月の中旬、タスマニアの春の終わり頃のことでした。

 

そこから卒業式までの1ヶ月間がタスマニアに来て一番楽しい時間だったかもしれません。

 

大学の友達とカフェに行ったり、ハイキングに行ったり、ホームパーティをしたり。

はたまた一人で海辺で本を読んだり、疲れてもいないのに昼まで寝てみたり。

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タスマニアに来る前にインターネットで見た「留学生活」が海外生活4年目にして初めてそこにはありました。

 

 

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11月中旬には高校時代の友達がタスマニアまで遊びに来てくれ、世界遺産であるクレイドル・マウンテンを一緒に登頂したりしました。

 

いやァ~、

楽しいですねぇ!非常に!

 

こうして僕は、あまりにも平凡で穏やかなタスマニアでの生活を初めて味わいながら、卒業式の日を迎えるのでした。

 

 

 

2.卒業式

海外の大学の卒業式、皆さんどんなイメージをお持ちですかね。

 

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だいたいこんな感じを想像していただけているんではないでしょうか。

人種や国籍を超えたアツい友情と、楽しいキャンパスライフを振り返りながら、友の新たな門出をみんなで祝う。

それが卒業式ってモンだと思いますよね。

僕もそう思います。

 

 

実際はこちら。

 

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お、意外と楽しそうじゃーん!

 

でもね、これはオーストラリアがそうなのか、僕の大学がそうなのか、ただただ僕の友達がそうなのか、良く分かんないですけど、

 

卒業式に知ってる人が全然いないwww

 

たぶん日本だったら、みんな19歳で入学して、そりゃ休学したり、中退する人もいると思うんですけど、だいたいみんな22歳で一緒に卒業するじゃないですか。

 

でも、オーストラリアだと、普通に19歳で学部入学する人もいれば、60歳で入学する人もいるし、子持ちの人もいるし、海外から17歳とかで飛び級で入学する人もいるんすよ。

しかもしかも、途中で2年ぐらい旅に出ちゃう人もいれば、専攻を変える人もいるし、パートタイムで3年間のコースを6年間かけてゆっくりやる人もいる。

というわけで、スタート時期も終了時期もみんなバラバラすぎるという事態が発生し、

その結果、

 

卒業式に知ってる人が全然いないwww

 

になるわけです。。。

あと、シンプルに卒業式に興味がない友達も結構いましたね。はい。

 

3年間本当に多くのこと学び、他では経験できないようなことをこれでもかってぐらい経験させてくれたこのタスマニア大学理学部動物学科。

自ら選んだこの道を、常に「俺ならできる」と自己中に突き進んできましたが、それはつよがりで、本当は多くの人たちに途轍もなくお世話になりながら、頼りながら、そして迷惑を掛けながら来た道でした。

親や友達やホストファミリーへの感謝の気持ちは感謝してもしきれないぐらいありますが、キャラじゃないのでここには書きません。

 

 

でも日本から遥か遠く離れたこのタスマニアで、自分の大好きなことにこんなに夢中になって勉強できてよかった。勉強させてもらえてよかった。

あれからしばらく経った今、改めてそう思います。

 

 

それでは、僕の汗と涙の学部生活3年間を締めくくるべく、僕が卒業式で放った一言でお別れです。

 

「I fucking nailed it. Zoology was too easy.」

「やったった。動物学なんて超簡単だったぜ。」

 

 

 

 

完。

第六話: ところで動物学ってどんなこと勉強するの?~タスマニア大学での生活~

おかげさまでワタクシのタスマニア大学動物学シリーズも第六話です。

予定では次回でこの連載は一旦終了する予定ですので、皆さんもう少しお付き合い宜しくお願い致します。

 

本記事のテーマはズバリ!

ウォンバット研究との出会い!

激闘!深夜のジャングルでの伝説のフィールドワーク!

 

です。

今回もタイトルが荒々しいなぁ(笑)

 

それでは、第六話ッ!Here We Go!! 

 

 

1.ウォンバット研究との出会い。そのいきさつとは?

 

僕がウォンバット研究に出会ったのは学部3年の時でした。

日本の大学では恐らくほとんどの人が研究室に入ると思うのですが、オーストラリアの大学はたぶんそのようなシステムはありません。

なので、卒業論文なんてものとは無縁のまま学部を卒業していく人もめちゃくちゃ多いと思います。

タスマニア大学動物学科では、選択教科のひとつとしてリサーチプロジェクトというものがあり、それを選ぶと研究室に入ってその研究プロジェクトを元にした卒論を書くということになります。

そしてこれが僕とウォンバット研究との出会いとなったわけです。

といっても、正直なところ僕は元々ウォンバットが大好きだったわけでも、ウォンバット研究が何としてでもしたかったわけでもなく、、

試験嫌い。

試験勉強したくない。

試験勉強しなくていい方法はないか、

リサーチプロジェクトがあるじゃないか!

 

という非常に邪(よこしま)な思考でなんとなーくスコット・カーバーに、

「いい感じのプロジェクトないですかねぇ」

って相談しに行ったのを覚えています。

 

でも、こうしてその後数年間のウォンバットを研究した結果、今はウォンバット保護への愛情も情熱もしっかり持っています。(笑)

 

これがこの先の僕の進路に大きく影響する決断になったのでした。

 

2.はじめてのウォンバット研究。

 

「ちょうどいいプロジェクトがあるよ!ウォンバットの巣穴についてなんだけど。」

そうスコットに言われた時にはもう僕の心は決まっていました。

昔からあんまり深く考えないタイプです。

プロジェクト概要としては、ウォンバットの巣穴の中と外の温度変化を調べ、それを季節ごとに比較していくというもの。今もう夏と冬のデータはあるから、秋のデータを取ってきてくれんかと、ということでした。

 

一応タイトルは

Investigation of the thermal environment of the bare-nosed wombat (Vombatus ursinus) by examining seasonal temperature gradients of inside and outside the burrows.

です。

 

「なるほど。おもしろそうだ。ぜひやらせていただきたい。」←特に何も考えてない。

 

即決でした。

 

フィールドワークの場所はお馴染み。

Narawntapu National Park

タスマニアの北部に位置する美しい国立公園です。

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ここで、指定されたウォンバットの巣穴の中と外の温度を一時間ごとに24時間記録し、他の季節とのデータと比較します。

巣穴というウォンバットにとって大事な役割を果たす物の機能を知ることは、彼らの生態を理解する上でとても大切な情報になるのです。

 

 

3.またしても圧倒的な大自然!フィールドワーク遂に始まる!

 

周りに何もない圧倒的な大自然の中のキャンプも、動物学専攻も3年目の僕たちにとっては慣れたモンでした。

シャワールームにバカデカいクモがで現れようが、テント内でサソリとコンニチワしようが、キャッキャっとはしゃいでいました。

慣れとは恐ろしいものです。

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さて、本プロジェクトのミソである24時間のウォンバットの巣穴の温度のデータを取るために、15人ほどのボランティア(という名目で集まった友達)に協力してもらいました。

ここで二泊三日、二人一組のシフト制で公園内に点在するウォンバットの巣穴を訪れます。

 

僕のペアは昼12時、午後8時、そして朝4時の担当になりました。

 

どこまでも続く圧倒的大自然。

永遠に広がる平原と深い森をGPSを頼りに目的のウォンバットの巣穴へとカンガルーの群れをかき分けて向かいます。

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道中で、疥癬(かいせん)に感染したウォンバットを多く見かけました。

この病気に感染すると毛が抜け、むき出しになった皮膚はただれ、非常に痛々しい見た目になります。

ここナラウンタプ国立公園ではウォンバットの間で疥癬のアウトブレイク(突発的発生)が起こり、過去10年で個体群の95%の減少が報告されていました。

2016年当時国立公園内で確認された10頭のウォンバットにも疥癬の症状が見られました。

 

このウォンバットの病気について詳しくはこちらをどうぞ。

wombat-suki-life.hatenablog.com

 

 

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Tasmania Government Department of Primary Industries, Parks, Water and Environment https://dpipwe.tas.gov.au/wildlife-management/fauna-of-tasmania/mammals/possums-kangaroos-and-wombats/


疥癬の恐ろしさを目の当たりにして、とってもげんなりしていた僕ですが、人生嫌なことばかりではありません。

フィールドワークで巣穴の温度計測をしようとしていると、

 

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ひょっこり。

あらァ~♡可愛いィ~♡

巣穴からウォンバットの親子が顔を出してきたではありませんか!

いやもう可愛すぎます。

可愛すぎて心がとっても「ポワッ♡」となりました。

 

キャンプ地に帰って早速この写真とエピソードを友達に話すと、みんな同様に「ポワッ♡」となっていました。

 

このフィールドワークで一番印象に残っているのが朝4時の温度計測でした。

外灯もない真夜中の国立公園。

明かりといえば自らの頭につけた懐中電灯と夜空に浮かぶ天の川のみです。

昼間通った草原とジャングルですが、さすがに闇が深すぎてバチクソにビビってました。

しかもそこら中に動物の気配がするんですよ。

ちょっと懐中電灯を向けると、50匹いや100匹以上のワラビーたちがその目を光らせながら草原へブワーッと散っていくのです。

それと同時に僕の鳥肌もブワーッと立ちます。

あれは本当に一生忘れられないものすごい光景でした。。。

こうして僕らはワラビーの大群やタスマニアデビルのうめき声に戦々恐々としながら、データを集めたのでした。

 

 

4.調査結果!

 

さぁ、本プロジェクトではウォンバットの巣穴の中と外の温度の24時間の変化を冬、夏、秋で比べてみました。

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左が巣穴外、右が巣穴内の温度です。温度は10か所の巣穴の平均です。

 

すごいですねぇ~、外の地面の温度が灼熱の60℃になろうと、極寒の氷点下になろうと、ウォンバットの巣穴の中はだいたい10~20℃の快適ラクラク空間に保たれていたのです!

 

ウォンバットは非常に代謝が低く、体温調節が苦手な生き物です。

そんな彼らにとって巣穴はとっても大切な役割を果たし、うまく穴を掘ることのできない個体は野生では生きていけないのです。

また、ウォンバットの巣穴は長いものでは全長20m近くにもなり、僕らの家と同じように寝室、トイレ、台所、リビングなどなど用途に合わせたお部屋があります。

なので、灼熱地獄の日や、極寒吹雪地獄の日は、巣の中に蓄えた草でも食べながらむにゃむにゃしてればいいのです。

 

 

以上が僕が行ったウォンバットの巣穴の研究でございました!

どうでしょうか!

フィールドワークのある研究って大変だけど、毎回いろいろな発見があってマジで学ぶことが尽きないんですよ。

研究の雰囲気が少しでも伝わったかな。

この記事が野生動物の研究に興味のある人たちにとって「はえ~、面白そうだねェ~」って思ってもらえるような物であったら幸いです。

 

おかげさまで第六話まで続きましたタスマニア大学動物学シリーズ。

次回で最終回です。

今日はナラウンタプ国立公園の美しい写真と共にお別れです。

では皆さん、最終回でお会いしましょう。

 

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第五話(後編): ところで動物学ってどんなこと勉強するの?~タスマニア大学での生活~

 


事は前回の続きです。

つまり、

 

激闘!無人島サバイバル地獄の五泊六日ッ!!(後編)

これです。

 

前編はこちら。

wombat-suki-life.hatenablog.com

 

無類の動物好きの僕とは言え、さすがにこのときまで無人島で五泊六日なんて人生で一度もしたことがなかったわけです。

そんな感じだったので、それはもう慣れないことや驚いたことがたくさんありました。

今回はマライアアイランドの圧倒的な大自然の中でのキャンプ生活で起きた事件についていくつか相変わらずまとまりもなくつらつらとお話していこうかなと思っております。

 

というわけで、第五話ッ!後編ッ!Here We Go!! (マリオカート風に)

 

事件1.歯ブラシ

 

島まで向かう船の出る港まで、友人の運転する車に数人のうちの一人として乗せていってもらいました。

キャンプグッズと6日分の食料と着替えですからね、それはもう死ぬほど大荷物です。

その道中で僕は、大変なことに気付きました。

「あ、歯ブラシ忘れた。」

ありがとうございます。

この一言で車内みんなの爆笑をかっさらえました。(違う)

「いやいやマジかよ。無人島に歯ブラシは売ってねーべ?ww」

「最悪あれだな、葉っぱだ。葉っぱに歯磨き粉付けろ。www」

「いや血ぃ出るわwww」

とか言いながら大騒ぎしていましたが、幸いにも港の近くにヨッボヨボのおじいさんが経営してるボッロボロのコンビニがあり、そこで九死に一生を得ました。

まだ島にも着いてないことを最初に書いちゃってすいません。

 

 

事件2.シャンプー

 

島のキャンプサイトにて。

オレ「あ、シャンプー忘れた。」

友達「シャンプーは貸してあげるから使っていいよ。」

 

 

事件3.ウォンバット

 

これは事件とはちょっと違うかもしれませんが、この島、野生のウォンバットがそこら中にいらっしゃいます。

夜中とか、テントのすぐ外で草をムシャムシャしている音で目が覚めたりしました。

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※野生です。

あと、朝起きると「俺はウォンバットのトイレの上にテント立てちゃったのかな?」ってぐらい周りにすごい量のフンがしてありました。

臭くはないけど、嬉しくはないですねぇ。。。

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マジで四角いウォンバットのフン

でも親子ウォンバットとかはハチャメチャに可愛いので死ぬほど癒されます。

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事件4.ポッサム

 

シャワー・トイレ設備があるとは言え、夜の無人島です。

外灯もないので、頭に付けた懐中電灯と夜空に浮かぶ星たちが唯一の明かりです。

もちろん、シャワー室もトイレ内も電気はありません。

しかし、一日のフィールドワークでかいた汗を流さないわけにもいかないのです。

スッポンポンにサンダル+懐中電灯という、あまりにも、あまりにも滑稽な恰好で、真っ暗のシャワー室の中で一人の男が必死にシャンプーをするのです。

 

「あぁ帰りたいなァ。。。」

 

そんなことを思っていると、

 

「ガッシャン!!」

 

何か物が倒れた音がしました。

シャンプー中で目を開けるのにも苦戦しながら、恐る恐る物音のした方へ明かりを向けてみました。

 

そこにいたのは。。。

 

 

巨大なポッサムでした。

 

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Australian Geographic <https://www.australiangeographic.com.au/

 

マジで死ぬほどビックリしました。

 

ビックリしすぎて

「おわぁ」

とかいう情けない声を出してしまいました。

 

いかんせん裸だったし。。。

 

無人島!デンジャラス!

 

 

事件5.タスマニアデビル

 

マライアアイランドには2012年より、タスマニアデビルの個体数減少の最大の原因であるデビル顔面腫瘍性疾患 (DFTD)の対策プログラムとして多くの健康なデビルが移入されています。

本来野生で見るのが非常に難しいタスマニアデビルですが、この島では夜になるとあの悪魔のような雄たけびも聞こえてくるし、懐中電灯で照らすと結構そこらへんにいます。

 

 

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懐中電灯で必死に照らしながら友達とトランプをしていたある晩。

 

「うぉぉぉお!ソーセージ―ィ!!!」

 

という謎の叫び声がキャンプサイトにこだましました。

何事かと思いそこへ走っていき明かりで照らしてみると、ソーセージを加えたタスマニアデビルが彼のテントから出てきたではありませんか。

 

俺ら「wwwwwww」

笑うしかありません。

 

被害者本人は貴重な食料を奪われかなり落ち込んでいるかと思いきや、

誰よりも爆笑していました。。。

 

いろいろデンジャラス!!!(笑)

 

 

 

はい、ということでいろんな出来事がありました

「激闘!無人島サバイバル地獄の五泊六日ッ!!」

いかがだったでしょうか。

 

この国立公園、本当に美しい大自然があり、そこに生きる貴重な生物たちが素晴らしい生態系を形成しています。

 

この記事を通して伝えたいメッセージがひとつだけあります。

 

「Keep Wildlife Wild = 野生は野生のままに」

 

こんなに素敵な国立公園ですから、もちろん多くの観光客が訪れます。

しかし残念ながらゴミを持ち帰らなかったり、野生動物に触ったり、または食べ物をあげたりする人が一部ではありますがいるのも事実です。

 

ある日本人のブログでも、見かけました。

「島にいるウォンバットのおやつ用にニンジンを持ってきました!☆」

論外です。

 

あと、野生動物はだいたいバイキンや寄生虫が盛りだくさんです。

自分の健康のためにも、触ることはオススメしません。

 

なので皆さん、

「Keep Wildlife Wild」

これでよろしくお願いします。

 

この記事の締めとして、マライアアイランドの素敵な自然の景色の写真でお別れです。

 

この連載ももうすぐ終わりです。

いつも読んでくれてありがとう。

では、第六話でお会いしましょう。

 

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第五話(前編): ところで動物学ってどんなこと勉強するの?~タスマニア大学での生活~

おげさまで第五話になりましたタスマニア大学動物学シリーズ。

今回のエピソードは。。。

 

激闘!

無人島サバイバル地獄の五泊六日ッ!!(前編)

 

です。

第三話でちょっとだけ書いてみたら反響が大きかったのでちゃんと書きます(笑)

 

ちなみに、これは大学三年生の海洋生態学の授業です。

前編の本記事では、その無人島に向かうまでの道のり、そしてそこで行ったプロジェクトについてお話していきます。

というわけで、第五話ッ!前編ッ!Here We Go!! 

 

  • 謎の無人島へ、いざ出発。

。。。なんつって、本当は全然謎じゃないです。

今回我々探検隊が向かったのはタスマニア島の東にあるタスマン海に浮かぶ小っちゃな島、マライアアイランド国立公園。

無人島とは言えキャンプサイトがあるので、一応シャワーとトイレはあるという情報は得ていました。

キャンプ中は川で行水に森で野グソを覚悟していたので、それを聞いてかなり安堵したのを覚えています。

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The Maria Island Walk https://www.mariaislandwalk.com.au/the-walk/

 

ちなみに某ウィキ〇ディアによると、Maria Islandを「マライア」と呼ぶのはタスマニア民だけで、他の人は普通に「マリア」と呼ぶらしいです。

どうしたタスマニアン(笑)

 

船室もなければ椅子もない船と呼ぶにはあまりにも心許ない船に乗り、約1時間程かけて島へ向かいました。

季節は秋。甲板で浴びる海風に凍えながらも、道中でイルカやオットセイと遭遇し、青白い顔で「ワオ、アメージング」などと言ってみたりしました。

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イルカの大群

 

そして見えてきました。

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これがMaria Islandです。

かすかに見える建造物は19世紀の植民地時代にイギリスから連れてこられた罪人たちによって建てられた物とか言ってような気がしますが、イルカとオットセイのおかげで  、ワタクシお恥ずかしながらテンションMAXだったのであんまり話は聞いてませんでした。

誰かタスマニアの歴史に詳しい人いたら教えてください。(他力本願)

 

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そこら中にウォンバットがいらっしゃいます
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    そもそも何故この無人島に?

海洋生態系学の授業の一環で来たこのフィールドワークの目的。

それは島のある2つの違う場所の生態系を比較し、生息する生物に違いがあるか、そしてあるとすればそれは何故なのかを調べるというプロジェクトのためでした。

こちらがその2つの場所です。

 

場所A:Painted Cliffs

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島の東側に位置する絵の具で塗ったような美しい岩の模様が特徴の海岸です。

リトルペンギンが泳いでました。

 

場所B:Fossil Cliffs

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島の東側に位置する海岸。その名の通り化石がそこら中に転がっています。

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こんな感じ。

 

この二か所に干潮の時間に行き、岩場に生息する生物の種類、数、潮だまりの大きさ、などなどいろんなデータを取りました。

 

データを分析すると、面白いことが分かりました。

生息する生物の「種類の数」:場所A>場所B

生息する生物自体の「数」:場所A<場所B

 

つまり、場所Aは生物の種類は多いけど、それぞれの種類の個体数は少ない。

かたや、場所Bは生物の種類は少ないけど、その生物の個体数は多い。

このような結果になりました。

 

我ら探検隊、非常に困惑。

科学をかじる者として、この謎は解き明かさねばならんのです。

 

調査のために数々の論文を読み進めていくうちにとても興味深い文章を見つけました。

High levels of physical disturbances tend to exclusively reduce the species richness of the habitat. The species diversity will peak at intermediate magnitudes or frequencies of disturbances.

つまり、

「高レベルの物理的障害はそこに生息する生物の種類を減らす。生物の種類数は中レベルの障害の時にピークに達する。」

 

なるほど。。。

これは興味深い。

確かに場所Bは非常に風が強く波も高かった。

それに比べて場所Aは比較的穏やかでした。

どうやらこれは高いレベルの障害はそこに住むすべての生物の死亡率を上昇させ、その厳しい環境に適応することのできる生物にとっては他の生物との生存競争少ない繁栄のしやすい環境になるのです。

逆に低レベルの障害しかない環境では、違う種類の生物間での生存競争が激しくなり強い種類がその場所を占領する形になり、これもまた生物種数の減少かつ小数種の独占状態となるわけです。

という理由で、生物種数は中レベルの障害のある環境でピークに達するのです。

こうして分析したデータを表やグラフにし、レポートにまとめ、そしてクラスに発表するのです。

ちなみに予想に反してレポートは17ページ(約5000語)にもなりまして、当時まだ学部生だった僕は結構ヒィヒィ言いながら書いた気がします。

まぁ修士論文は70ページだったんですけどね。。。(笑)

 

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集めたデータから作った図のひとつ。

説明するとややこしいのでカラフルな絵画を楽しむ気持ちで見てください。

 

仮説を立て、プロジェクトを計画し、実際にフィールドに出てデータを集める。

そのデータを分析するとこうして何かが見えてくるというのは、科学もとい動物学の非常にエキサイティングな一面のひとつだなと強く感じました。

ただ今回のプロジェクトでは、その障害のレベルを数値化することができなかったので結論としては強くないのですが、当時はまだ学部生だったのでこんなものかなと今となっては思っております(笑)

 

はいッ!どうでしたでしょうか!

無人島へ向かう時の僕のワクワク感と、このプロジェクトで得られた非常に興味深いデータ、楽しんでいただけたでしょうか!

第五話後編では、マライアアイランドの絶景とそこでの暮らしぶり、そして珍事件について相変わらずまとまりもなくつらつらとお話していこうかなと思っております。

 

このタスマニア大学動物学シリーズもあと2話ぐらいで一旦区切りかな。

いつも読んでくれてありがとう。

それでは皆さん、第五話後編でお会いしましょう。

 

wombat-suki-life.hatenablog.com

 

 

 

 

 

第四話: ところで動物学ってどんなこと勉強するの?~タスマニア大学での生活~

 

第三話ではタスマニア大学動物学科のシステムや概要をワタクシ独自の視点でザックリとまとめてみました。

そしてこの第四話以降からはこの波乱万丈奇想天外奇々怪々な僕のタスマニア大学での学部生活の記憶を更に掘り起こし、そこからいくつかのエピソードをハイライトでお送りさせていただこうと、そういった趣向でェございます。

 

さて、自他共に認める生粋の動物マニアの僕が満を持して入学したタスマニア大学。

振り返ると本当に多くのことを学び、人間としても大きく成長させてくれたとても素晴らしい場所でした。

が、もちろん、楽しいことばかりではありません。

一番ツラかったことは何か。

一年生前期の動物学の教科のひとつ。Biology of Animals。

間違いなくこれですね。

即答です。

今では笑い話だし良き思い出だけど、やっぱり死ぬほどツラかった当時ハタチの僕の地獄の4ヶ月間。

これが第四話のテーマでございます。

というわけで、第四話ッ!Here We Go!! (マリオカート風に)

 

  1. Biology of Animalsってどんな教科?

その名の通り「動物たちの生物学」です。

ここで言う「動物たち」とは、昆虫やクラゲや貝類などの無脊椎動物から爬虫類や哺乳類などの脊椎動物まで、もう本当に動くもの全てです。

その動物たちの広い意味での「生物学」、つまり分類や進化や機能をこの4か月で全てビシッと網羅しようと。

そういった教科です。

 

例えば、この3ヶ月間で解剖したものは、ミミズ、ゴキブリ、カエル、サカナ、ヒトデなどなど。

本当にいろんな生き物の内臓にご挨拶させていただきました。(コンチワー‼)

そして、解剖した生き物をスケッチし、分類のためにそれぞれの特徴を暗記/理解し、脳ミソに叩き込んでいきます。

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ヒトデの解剖のスケッチ。


その中で数々のエッセイやレポート、そしてテストを乗り越えていくのです。

はい。今思い出しても完全なる鬼畜の所業です。

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レクチャースライドの一部


ただもちろん、最高に面白くて興味深い生き物の進化や機能のこともたくさん学びました!脊椎動物のアゴの獲得の進化とか、寄生虫vs宿主の競争進化の話とか!

 

でも、それを全部ブログで書きだすと全部理解していただくのに最低でも4ヶ月は掛かっちゃうんで、この記事の後半でちょろっと書くだけにします。

 

2.その4ヶ月間の僕の生活スタイル。

当時ハタチ、オーストラリアに来て2年目の僕の英語なんて、語学学校を無事にパスしたとはいえ全くダメダメでした。

もちろん授業になんかついていけません。

案の定、100人ぐらいいるクラスの中でだんだん落ちこぼれていきます。

Practical(実習)の時も、僕だけ何をしていいか分からないなんてことは日常茶飯事でした。

そんな感じなんで、生活リズムとしては以下の通り自動的に家と大学をひたすら行き来するだけの生活になります。

平日

09:00 – 10:00 レクチャー

10:00 – 12:00 図書館でPracticalの予習

12:30 – 13:30 お弁当タイム♡

14:00 – 18:00 Practical

18:00 – 20:00 お買い物&晩御飯

20:00 – 22:00 図書館でレクチャーの復習

 

土日

10:00 – 22:00 図書館

 

ってな感じです。

ワーオ、シンプル!(笑)

 

幸いにもレクチャーは録音されているので、オンラインで何度でも聞くことができます。

あと図書館は24時間開いてます。

僕のような落ちこぼれには非常にありがたいシステムです。

 

なので、「現地の友達とホームパーティ↝バイブスぶち上げHere We Go☝☝」

みたいな楽しい留学生活はとりあえずこの時は1秒たりともありませんでした。

まぁパーティなんて行ったところで英語分かんねぇし(笑)

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夜の図書館でエナジードリンク片手にやってました。またストレスで肌がやられるんすわ。


そしてこの鬼畜期間で何よりもツラかったのが

 

EXAM 

 

つまり試験です。はい。

 

落とせば再履修(卒業が延びる)、しかも3時間にも及ぶ長期戦というえげつないプレッシャーでした。

しかも聞くところによるとクラスの7割ぐらいは落ちるとか。

いやもう無理じゃね?ってなりますよねwww

かといってここで諦めて勢いあまって帰国するわけにもいかないので必死で勉強しました。

 

その結果は。。。

 

再試。(泣)

 

点数が100点満点中45~50点の人は再試になります。それより下はFailつまり落第です。

 

再試当日、試験会場に入った時に衝撃的な事実を目にしました。

 

再試が40人以上、しかもそのほとんどがオーストラリア人。

 

「ネイティブが落とす教科をね、俺が受かるわけねーじゃん。どう考えても。」

もうすでにここで自信喪失です。

 

結果発表の日。

もう不安で不安で前日は眠れず、朝から結果発表のサイトをリフレッシュしまくってました。

そして出た文字は、、、

 

PASS

 

後にも先にも大学生活で泣いたのはこのときだけでした。

 

こうしてなんとか僕がPassできたのは以下のことのおかげです。

  • 友達の存在

これはマジでデカかったです。

Practicalとか意味不明すぎて毎回のようにノートを写させてもらったし、試験勉強もウザイくらい頼ってしまったと思います。

でも再試に受かったときは

「I’m so proud of you mate! You are a legend!」

って言ってくれました。

イイやつかよォ~。

  • 先生に質問する勇希

これ、苦手な人多いと思うんです。

でも僕はマジで全然授業に付いていけてなかったので、質問するために死ぬほど先生のオフィスに突撃してました。

ちなみに、この先生の中に今後ウォンバット研究でお世話になるスコット・カーバーがいるのですが、ちょっと前に

「僕が一年生の時にセミの羽について質問しに行ったの覚えてる?」

と聞いたところ

「覚えてないwww」

とのことでした。

いいんです。そういう人なんです。

 

  • この教科で学んだことで一番感動したこと。

最後にこの教科で学んだことで一番感動したことを手短に書いて終わろうと思います。

マニアックすぎるのでここはもう飛ばしてもらって全然おっけーです(笑)

さぁ、なんの話かというと脊椎動物の先祖の話です。

これが一番感動しました。

脊椎動物のとは、僕たち人間を含めた背骨のある生き物のことです。

我らが脊椎動物がどこから来たのか。それは長年の謎でした。

そして、容疑者としてリストアップされたのがこちらの生物。

 

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ホヤです。

ホヤは成体になると海底の岩に張り付き生活しますが、幼生期は下の図のように背骨と尾があり泳いで移動することができます。

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https://depts.washington.edu/fhlk12/links/StudentProjects/Tun.biology.html

ホヤの幼生は、背骨、脳と脊髄からなる中枢神経系、肛門の後ろに伸びる尾など、脊椎動物の特徴を満たしており、ゲノム解析からかなり早い段階の脊椎動物のひとつであることが分かりました。

すごくないですか?

僕らの先祖、これですよ?

それを証明してしまうなんて、科学ってロマンありすぎやしませんか?

そう思うわけです。

詳細は、この論文でお願いします。

すいません、また英語です。。。

https://hal.archives-ouvertes.fr/halsde-00315436/document

 

 

 

はいッ!

というわけで、第四話ではBiology of Animalsという素敵な教科についてご紹介いたしました!

みんな、地獄の4ヶ月間を体験したくなってきたかな?

でも、この経験は僕の根性と動物の知識と興味を大きく飛躍させ、そのおかげで今の僕がいると言っても過言ではないかもしれません。

 

長いのに読んでくれてありがとう。

また、書きます。

第5話でお会いしましょう。

第三話: ところで動物学ってどんなこと勉強するの?~タスマニア大学での生活~

 

第二話では生まれ育った街を離れ、遥か南半球の果てオーストラリアはタスマニア州へと降り立った19歳当時の僕の記憶を辿らせていただきました。

英語力がゴミだった僕の語学学校の生活はこれといって特筆すべき爆笑エピソードもないのですっ飛ばし、第三話であるこの記事はタスマニア大学の動物学科のシステムや概要をワタクシ独自の視点でまとめてみようかなと思います。

あ、でも地の果てすぎるタスマニアには日本人が全然いないので英語を学ぶには最適な場所ですよ。

 

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タスマニア大学Sandy Bayキャンパス。

御覧の通り後ろが山なので夜は野生のワラビー、ウサギ、ポッサムなどが出現します。

https://universityreviews.com.au/students/tas/utas-tasmania/

 

というわけで、第三話ッ!Here We Go!! (マリオカート風に)

 

 

 

タスマニア大学・理学部・動物学科!いよいよ始まるッ!

その実態とは!

はいッ!というわけでね、ようやくここまで来ました!

このまま大学に入らず有耶無耶にシリーズが終了するんじゃないかとヒヤヒヤしていた方もいたでしょう。

まだまだこのシリーズはこれからです。ちゃんと書きます。

 

僕がタスマニア大学で専攻していた動物学科は基本的に1年に8科目(前期後期4科目ずつ)をとり、24教科をパスできれば卒業できます。

つまり学部は3年間です。

きっと日本の大学と比べると、

「ハァ?必要単位めっちゃ少なくね?しかも3年?チョロゲーかよォ~!」

って思う方もいると思います。

これがね、正直言ってめちゃくちゃツラかったんすよォ↷

一週間の授業の流れとしては、普通の座学(レクチャー)が1科目につき50分× 3。

それに加えPracticalという、実習とでも呼ぶべきでしょうか、野外に出て何かを観察したり、生き物を実際に解剖してみたり、ってなことを週に一度4時間といった感じで構成されています。

 

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レクチャールームはこんな感じ。

 

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Practicalの様子。クソみたいな画質ですいません。

 

 

そしてイースターなどのミッドセメスターブレイク(一週間程の授業お休み期間)には国立公園内のジャングルの中や無人島でキャンプを張りながら動物を観察したりします。

しかも、そのブレイク中はだいたいえげつない量のエッセイやレポートなどの課題が出されるため、無人島にパソコンを持参し課題をこなすという末代まで語り継ぎたいような経験もしました。

なので「キャンプだワーイ!キャピ☆」みたいな気分にはあんまりなりません。(笑)

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無人島で6日間お世話になったテント。過酷でした。

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実際の無人島でのフィールドワークの様子

 

ただ、もちろんテント周辺を常に無数のウォンバットやワラビーが徘徊し、ビーチに行けばペンギンやオットセイと遭遇できるこの無人島でのキャンプは本当に何事にも代えがたい非常に思い出深い貴重な経験でした。

なのでやっぱり改めて末代まで語り継いでいこうと思います。

僕は真っ暗のシャワー室でスッポンポンのところにポッサムが入ってきて肝を冷やしたし、友人はタスマニアデビルに貴重な食糧であるソーセージをテントから盗まれてました。(カオス)

うーん、末代まd…(以下省略)

 

このフィールドワークについてはまた別記事で詳しく書こうと思います。

 

そして山あり谷あり波乱万丈の約3か月間のセメスターの締めくくりとして一教科につき3時間の試験が待ち構えています。

そこから結果発表までの約2週間、言われもない緊張感と恐怖に苛まれながら「Pass」という文字をひたすら祈りながら過ごすのです。。。

 

 

 

一口に「動物学」と言っても、本当に多くのことを広ーくそして深ーく学びました。

その幅は哺乳類のみにならず、昆虫、魚類、爬虫類、両生類、鳥類、そして植物までも網羅しており、そしてそれら全ての体の機能、進化、行動、分類など、ゴリゴリに掘り下げていくというなんとも頭のおかしな学問なのです。

大きく言ってしまえば、人間以外の全ての生き物は僕の専攻になっちゃいます。(クレイジー)

 

僕が3年間の学部生活で学んだことの中で1番感動したことのひとつが「脊椎動物の心臓の進化」です。

 

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左から「魚類(1心房1心室)→両生類(2心房1心室)→爬虫類(2心房1.5心室)→鳥類(2心房2心室)→哺乳類(2心房2心室)」の順。

Stephenson et al. (2017): The vertebrate heart: an evolutionary perspective


水中から重力と闘うためにより多くのエネルギーを要する陸上生活へ、そして変温性から体内発熱のためにより多くのエネルギーを要する恒温性へと適応していくために心臓が複雑化していく様子はあまりにも美しく感動を覚えざるを得ませんでした。

うーん、これに共感してくれる人どれぐらいいるんだろう。。。(笑)

一応「脊椎動物の心臓の進化」について詳しく知りたい人はこちらの論文をどうぞ。

これ見る人いんのかな。。。(笑)

まぁとにかく!無類の動物好きの僕には、誰かに話したくなるような雑学が盛りだくさんのタスマニア大学での授業が最高にエキサイティングだったのです。

 

 

はいッ!というわけで!第三話ではタスマニア大学で動物学を専攻するとはどんなことなのかをかなりザックリとお送りしました!

でも動物学をこれから学びたいと思ってる人にとってはなかなか面白い記事だったんじゃないかなと思っております!(自惚れ)

そして第四話以降からはこの波乱万丈奇想天外奇々怪々な僕のタスマニア大学での学部生活の記憶を更に掘り起こし、そこから面白かったことと僕の書きたいことをハイライトでお送りさせていただこうと、そういった趣向でェございます。

 

読んでくれてありがとう!

それでは第四話でまた皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。

第二話: ところで動物学ってどんなこと勉強するの?~タスマニア大学での生活~

さぁ、前回の記事では僕がタスマニアへ旅立つまでのキッカケと葛藤の記録をお話させていただきました。

「これ需要あんのかなぁ」って不安に思いながら書いたのですが、予想に反して興味を持ってくれた人がたくさんいたので、僭越ながら続きを書いちゃいます。

感想をくれた人はスーパーありがとうございます。

読んでくれた人もスーパーありがとうございます。

 

というわけで、第二話もHere We Go!! (マリオカート風に)

 

1.出発の日の記憶

まず、タスマニアへ飛び立つ日のことを思い出したのでそのことを書こうと思います。

これも需要ないかもしれないけど、僕が書きたいので書きます。(笑)

 

19歳、出発当日の僕は一人っきりでの海外にそれはそれはもう不安に胸が押しつぶされそうでした。。。

 

なァーんてことは全く無く、不安の欠片もなく、大きな期待と過剰なまでの自信で満ち溢れ、余裕ぶっこきクソ野郎で出発当日を迎えました。

「英語なんて俺なら3か月もあればペラペラになれる」

そんな風に思ってました。いやァ~、憎たらしいですねぇ。(笑)

完全に過信です。世間知らずです。

調子乗ってたんですね。えぇ。

 

成田空港へ向かう新幹線に乗るために、「スーツケース重いし大変でしょ」と言う母に家から車で名古屋駅まで送ってもらいました。

 

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駐車場から会話もなく駅構内を一緒に歩き、そうこうしているうちに改札へと着きました。

 

「お世話になりました。」

 

蚊の鳴くような小さな声でそうボソッと言い残し、振り返りもせず改札をくぐったのを覚えています。

母はその時どんな気持ちだっただろうか。

どんな顔をしていたのだろうか。

僕も家族と離れることが本当はすごく不安ですごく寂しかったのかもしれません。

しかし、当時はまだまだガキで、素直になれず、つよがりのように冷たい態度をとってはその不安をごまかしていたのかもしれません。

何故もっと素直に感謝の気持ちを伝えられなかったのだろう、と今でも少し後悔しています。

こうして、実際よりも少し重たく感じるスーツケースを引きずりながら僕は生まれ育った街を出たのでした。

 

東京駅で東京に単身赴任していた父と合流しました。

ちなみにその時言われた言葉は、

「母さん泣いてなかった?www」

でした。

今も思う。「なんで半笑いなんだよ。。。」と。(笑)

 

これが2012年4月25日、僕が初めてタスマニアに向けて日本を発った日の記憶です。

今でこそ多少いろいろ話すようになりましたが、これ書いてて「離れてるからこそやっぱりもっと家族とたくさん話さなきゃなぁ」なんて思ってます。

 

2.ついにタスマニアの地へ!

皆さん、大変長らくお待たせしました。ここまで付き合ってくれて本当にありがとうございます。

やっとタスマニアにたどり着きます。(笑)

タスマニア州の州都ホバートへはシドニー経由で向かいました。

思い出しました。着陸前に機内から見た景色に僕は驚愕したんです。

 

一面ずーーーっと緑!!!

見渡す限り果てしなーく緑!!!

 

テレビでアマゾンの空撮映像とかあるじゃないですか。

マジであんな感じ。(笑)

「お、オレは今日からこんなとこに住むのか。。。」

と、ここに来てとんでもないところに来てしまったという大きな不安に襲われました。

 

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やっとの思いで飛行機を降り、荷物を待っていると、ヒゲモジャの体重100キロはあろうかというめちゃくちゃデカいおじさんが話しかけてきました。

「Are you Kotaro?」

「ん?(困惑)」

自分の名前を聞かれただけなのにそれすら聞き取れませんでした。

そしてそのデカいおじさんと彼の隣にいた優しそうなおばさんこそが、僕のホストファミリー、ケンとクリスだったのです。

 

ホバートの街を抜け、郊外にあるホームステイへの道中、「すごい、すごい」と馬鹿の一つ覚えのように僕は連呼していました。

彼らの英語がまるで聞き取れない分、せめて理解してもらえそうな日本語を発することでとりあえず自分を主張しようと考えての作戦でした。

我ながら意味の分からん作戦すぎて引いてます。

 

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Hobart facts for kids: https://kids.kiddle.co/Hobart

 

ちなみにホームステイ着いてからも、なんだかめちゃくちゃオシャレな部屋のデザインに、ここでも、

「はえー、すごい。」

と言っていたのを記憶しています。

もうほとんど壊れたサルのおもちゃ状態です。

 

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このように分かりやすく壊滅的な英語力だった僕は、到着の2日後から語学学校に通うことになるのです。

「初日は送っていくね。」

とケンが言ってくれたと思うのですが、当時の僕の英語力では今となっては謎のままです。

 

こうして、僕の長くつらく、そしてあまりにも最高なタスマニアでの生活がスタートしたのでした。

 

はいッ!

というわけ、第二話では19歳の僕が家族を離れタスマニアへと降り立った記憶を辿らせていただきました!

話がなかなか進まない+全然動物の話をしてなくてすいません。(笑)

でも!きっと第三話か第四話には、かなり具体的なタスマニア大学での動物学専攻ライフについてお話できるのではないかと予想しております。(あくまで予想なのであしからず)

「面白かった」とか「話が長ェ―よ」とか「ちゃんと母ちゃんと話せ」とか、もう本当になんでもいいのでまた感想等をもらえると喜びます。

 

読んでくれてとってもありがとう!!!

 

ではでは、皆さん第三話でお会いしましょう。